ヒマつぶし情報
2019.04.10
大好きなバンドTENDOUJIを育んだ「松戸市」について大いに語ってもらったところ……
20代後半にして初のバンド結成。にも関わらず、昨年「RUSH BALL」「BAY CAMP」といった日本のフェスに加え、アメリカ最大級のフェス「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」への出演も果たしたTENDOUJI。
知名度が上がっているのに、彼らの“近所のお兄ちゃん感”は失われていないし、相変わらずメロディには「親しみやすさ」しかない。
結局その理由としては、中学生時代からの幼なじみであること以上に、生まれ育った街、千葉県・松戸市の地域性によるところが大きいのではないか? ということで、TENDOUJIのメンバーに愛する地元を語ってもらった。
”愛あるディス”が飛び交う自体に

── 今日はファーストアルバム『MAD CITY』のタイトルソースにもなっている「松戸市」がどんなところか話を聞きに……。
アサノケンジ(Gt,Vo)「松戸にヴィレヴァン知っているやついないっすよ(笑)」
── いきなりディスから(笑)。たしかに松戸市にはヴィレヴァンがないですね……。
アサノ「僕らは『新松戸』ってとこでしたけど、親世代が『東京のベッドタウンになる』っていう触れ込みで家を買ったんですよね。
当初はその一帯に開発の話もあったんだけど、これまで20年間ほぼ実現されずに(笑)」
モリタナオヒコ(Gt,Vo)「うちは新松戸のほんと端の方に一軒家買っちゃって、親も『ミスった』と言ってました(笑)。ほんと何もない街っすよ」
── ネガティブな感想が続いていますが(笑)、リズム隊のおふたりは現在も松戸市在住なんですよね? 実際、住んでいてどうですか。
ヨシダタカマサ(Ba)「僕は一度東京に住んで、また松戸に戻ったんですが、とっても住みやすいですよ」
オオイナオユキ(Dr)「自分もそう思っています。定かじゃないんだけど、松戸ってもともと『オオイさん』がすべての土地を持っていたらしくて、親父が酔っ払って『松戸は全部オレの土地だ!!』って言ってた」
一同(爆笑)
── 買い物は松戸でしなかったんですか?
アサノ「隣の柏市に行くこと多かったです。中3ぐらいから都内に進出するようになったんですが、それでも上野が限界(笑)」
ヨシダ「小学生の時は柏にトレーディングカードを買いに行くのが僕らの中でイケてる遊び方だったね(笑)」
── 松戸市のグルメスポットはどうですか?
アサノ「『スシロー』じゃない(笑)? あとは『ST』か」
モリタ「クックック…(顔を伏せて笑う)。俺がバイトしていたところっすね。『アメリカの田舎の家 レストランST』って言う名前ですが、全然アメリカ感なくて(笑)。それをアメリカからの帰国子女の僕が突っ込んだら、オーナーが顔真っ赤にしてました(笑)」
ヨシダ「店内はビートルズ(イギリス出身)グッズ多かったよね(笑)。僕らが大学のときはいつも『ST 』の上に住んでいる友達の部屋に溜まっていました」
── 勝手なイメージですけど、閑散としたところであれば、ヤンキーも結構いそうですね。
モリタ「そう、俺らの時代はヤンキーが多くて。自分が通っていた中学校は各クラスから早慶に行くやつが2~3人いるような頭の良い学校だったんです。だからよくカツアゲの対象になって(笑)。ガヤガヤした激しいところには遊びに行かなかった」
ヨシダ「カツアゲされましたねぇ…僕、軍手を買いに行ったら、お釣りが500円だったんで、『帰りにビーマニ(人気の音楽ゲーム)でもプレイして帰るか』とゲーセンに寄ったら、ヤンキーに見つかって、その500円ならまだしも軍手まで取られたことがあります。
一同(爆笑)
── 音楽の情報はどこで得ていたんですか?
アサノ「『メディアパーク』っていうレンタル店ですね。もう潰れてますけど(笑)」
モリタ「外観カッコ良かったんだけどね。ジュラシックパークを意識した感じで、そこ行くと必ず誰かいたな。『ファミリア』っていうレンタル屋もあったけど、そこも閉店してる(笑)」
アサノ「それこそ母校も潰れてるからね。(オオイに向かって)こいつの小・中学校はもうないですし」
オオイ「僕のお姉ちゃんの時代は、小学校の1学年で10クラスもあって、近くに新しく小学校ができていたぐらいなのに、自分の代でそれぞれ2~3クラスぐらいに減っちゃって。いまは片方が閉校(統合)してます」
アサノ「通っていた塾も、当時はめちゃめちゃ人いたのに潰れちゃってね」
モリタ「少子化やばいっすね」
── 過疎化が進む街では、一定層「くすぶっている」人たちがいると思うんです。松戸から「遅咲き」したTENDOUJIから、そんな人たちに何かメッセージをいただければと。
モリタ「何もないからこそ、育まれる価値観もあると思うんですよ。俺と(アサノ)ケンジは東京の私立高校に行ったんですが、周囲の話がつまんないし、ファッションもダサかったし。俺らのほうがセンスは上だと思ってましたね」
アサノ「ダサかったね。“東京いちオシャレ”といわれる高校に行ったのに」
モリタ「松戸にいるころから『カッコいい』と内に秘めたモノがずっとあって、東京の学校に行ってもそれを自分の中に取っておいて、28歳でバンド組んだときにようやく開放したんすよ。『遅いかな?』と思ったんですけど、実際開放してみると、意外と受け入れてくれる人がいるってことにビックリして、『俺ら間違ってなかったんだな』と。
だからヴィレヴァン行って、好きな漫画とか音楽とかに触れて、自分が思う『カッコいいこと』を作っておけば大丈夫だよと」
アサノ「(人指し指をビシッとこちらに向けて)いま君がいる場所は未来じゃない!」
モリタ「全然響かないよそれ(笑)」

バンド史上初のサウンド・プロデューサーとして片寄明人( G R E A T 3 )を迎えたE P『FABBY CLUB』が現在発売中。
幅広い層に受け入れられるキャッチーな曲はもちろん、カラフルな色使いと、アナログ感のあるザラついたMVにも注目だ。

左よりオオイナオユキ(Dr )、ヨシダタカマサ(Ba)、アサノケンジ(Gt,Vo)、モリタナオヒコ(Gt,Vo)。
2014年、千葉県松戸市で幼なじみだった4人で結成されたロックバンド。
インタビューでは松戸の“過疎化”について話題が及んだため、「それこそTENDOUJIが松戸でフェスを開催すれば注目されるのでは?」と提案したところ「実はそれ、考えてるんすよ」(アサノ)と、楽しみな野望を語っていた。
記事元
こちらの記事は、ヴィレッジヴァンガード公式フリーペーパーVVMagazine vol.57で読む事が出来ます。